ソロ活動/ぽり/ファイナルファンタジーXVI のバックアップ(No.53)


今作はぱっと見ゲーム・オブ・スローンズっぽさのあるFF、第16作目。実際スタッフにゲースロを見せてから開発していると開発者インタビューで明言されているが、(当然ながら)ゲースロとは何の関係もないのでゲースロを知らなくてもプレイにはまったく問題ない。
結論から言うと、本作の面白い部分はほぼ全て3Dアクション式の戦闘パートに集中している。RPG要素やシナリオはあまり重視しないが豪華なムービー演出やアクションは好き、という人におすすめ。
HDR環境は事実上必須なので、本作を購入する前に手持ちのディスプレイがHDRに対応しているかどうかを確認しておこう。

 

良い点:

  • FF14+デビルメイクライ式アクション
  • 最高峰のグラフィックと大迫力の召喚獣バトル
  • 詳細な世界設定、人物相関、あらすじなどの閲覧機能
 

悪い点:

  • ミニマップがない
  • 画面停止演出の多さ
  • ムービーへの没入感を削いでしまうQTE演出
  • お使いクエストの多さ
  • 主人公とヒロインの描写不足
 

以下、それぞれの詳細。

 

[良い点]

  • FF14+デビルメイクライ式アクション
    本作の戦闘はコマンド選択がなくなって完全にアクション式となっており、FF14とデビルメイクライをあわせたような方式となっている(本作のプロデューサーはFF14、バトルディレクターはデビルメイクライ5の開発者)。使うボタンは若干多いものの、操作さえ覚えたらお手軽に爽快感のあるアクションが楽しめる。
    1周目の範囲ではノーマル相当のモードでも難易度は低めで、無理にコンボを意識する必要はないが、ある程度はコンボを覚えたほうが見た目にも楽しくなる。さらに難易度の低いモードに変更したり、自動スキル発動・自動回避発動アクセサリを付けてボタン連打するだけのセミオート戦闘にすることも可能なので、アクションが苦手な人・ストーリーだけを見たい人も安心。
     
  • 最高峰のグラフィックと大迫力の召喚獣バトル
    人物、召喚獣、ボスモンスター、風景など、グラフィックはどれをとっても発売時点(PS5版は2023年6月発売)の最高峰レベル。ただしSDR環境では画面が暗すぎるのでHDRが必須。
    本作最大の見所と言ってもいい召喚獣バトルは必見で、やりすぎなほどのギラギラなエフェクトと派手なBGMを使った大迫力バトルを楽しめる。本作の中でもここだけはスクリーンショットやプレイ動画を見ているだけではまず手触りが伝わらないであろう部分なので、FFシリーズにアトラクション的な迫力のあるゲーム演出を求めている、という人はぜひともHDR環境を用意して自分の手でプレイしてほしい。
     
  • 詳細な世界設定、人物相関、あらすじなどの閲覧機能
    イベントシーン中はいつでもポーズ可能で、そのシーンのキャラ・用語解説を見る機能も搭載されているので、人間関係や世界設定を忘れてしまっても安心。とは言うものの本作のシナリオにはゲースロほどの複雑さがそもそもないので、よほど忘れっぽい人でない限り、通常プレイにおいては不要な機能。ゲースロを見るときにこの機能欲しい。
 

[悪い点]

  • ミニマップがない
    物議を醸した没入感重視のためのミニマップ不採用(発売前生放送での発表)に関しては、実際にプレイしてみると結局普通にマップを開いて手間が1ステップ増えるだけ。迷ってイライラすることを没入感とは普通言わない。
     
  • 画面停止演出の多さ
    レベルアップやクエスト完了などで見る必要のない情報を見せるためにいちいち画面を止めたり、少し大きめの扉を開く度にボタン長押しを強制するのが非常にうっとうしい。没入感をコンセプトに掲げるのなら、プレイヤー操作パートではもっと引っかかりをなくしてテンポや快適さを優先してほしかった。
     
  • ムービーへの没入感を削いでしまうQTE演出
    召喚獣同士の戦闘はムービーパート・戦闘パートともに見応え十分だが、QTEに関しては、いつ来るかと身構えてしまってせっかくの豪華なムービーを見るのに集中できなかったので、没入感を重視するのならQTEは完全に不要だと思う。
     
  • お使いクエストの多さ
    シナリオの本筋と関係のない、ただ歩き回って会話・ザコ戦・採集をやるだけのMMORPG式テンプレお使いクエストが定期的にメインクエストに挟まるため、また関係ない話聞かされるのか…という気持ちになる。
     
  • 主人公とヒロインの描写不足
    上記のお使いクエの多さに起因する部分も多々あるのだが、中盤までの主人公は相槌を打つだけでほとんど自発的に喋らないため、ゲーム後半に入るまでは性格を掴みきれず感情移入もしづらい。もう一言二言くらいは会話をして主人公感を出しておいてほしかった。
    ヒロインに関しては、回想シーンやモノローグを挟まずに急に一人演説を始めてプレイヤーの知らない情報解説キャラと化すシーンにかなり違和感を感じてしまった。敵キャラ側のイベントシーンは過剰に思えるくらいあるのに、味方キャラのイベントシーンに明らかな描写不足があるのは、優先順位に疑問が残るところ。
 

[総評]
総じて、「没入感」が悪い意味でキーワードになってしまった作品。ゲームシステムの演出・UI・クエスト内容・シナリオなど、いろいろな部分に引っかかりを感じるものの、ゲームシステムそのものや戦闘アクション要素は十分に高品質で面白い。また、召喚獣が登場するムービーや戦闘の演出は圧巻の一言なので、デビルメイクライシリーズが好きでムービー鑑賞ゲーが苦にならない人におすすめ。

 

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