ソロ活動/ぽり/ファイナルファンタジーXVI のバックアップ(No.39)


今作はぱっと見ゲーム・オブ・スローンズっぽさのあるFF、第16作目。実際スタッフにゲースロを見せてから開発していると開発者インタビューで明言されている。
結論から言うと、本作の面白い部分はほぼ全て3Dアクション式の戦闘パートに集中している。RPG要素やシナリオはあまり重視しないが豪華なムービー演出やアクションは好き、という人におすすめ。

 

良い点:
・FF14+デビルメイクライ式アクション
・最高峰のグラフィックと大迫力の召喚獣バトル
・詳細な世界設定、人物相関、あらすじなどの閲覧機能
悪い点:
・ミニマップがない
・画面停止演出の多さ
・ムービーへの没入感を削いでしまうQTE演出
・お使いクエストの多さ
・主人公とヒロインの描写不足
以下、それぞれの詳細。

 

[FF14+デビルメイクライ式アクション]
本作の戦闘はコマンド選択がなくなって完全にアクション式となっており、どこかで見たような予兆システム・どこかで見たようなスタイル切り替えやデビルトリガーなど、FF14とDMCをあわせたような方式となっている(本作のプロデューサーはFF14、バトルディレクターはデビルメイクライ5の開発者)。使うボタンは若干多いものの、操作さえ覚えたらお手軽に爽快感のあるアクションが楽しめる。
1周目の範囲ではノーマル相当のモードでも難易度は低めで、無理にコンボを意識する必要はないが、ある程度はコンボを覚えたほうが見た目にも楽しくなる。さらに難易度の低いモードに変更したり、自動スキル発動・自動回避発動アクセサリを付けてボタン連打するだけのセミオート戦闘にすることも可能なので、アクションが不得意な人・ストーリーだけを見たい人も安心。

 

[最高峰のグラフィックと大迫力の召喚獣バトル]
人物、召喚獣、ボスモンスター、風景など、グラフィックはどれをとっても発売時点(PS5版は2023年6月発売)の最高峰レベル。
多くのシーンにおいてモノトーン寄りのカラーデザインで画面が構成されており、暗い場面も多いのでHDR環境はほぼ必須となっている。HDRでプレイしている間は全く気にならなかったのだが、後からSDRのスクリーンショット・録画を見るとかなり映えが薄れてしまっている印象を受けた。
中でも本作最大の見所と言ってもいい召喚獣バトルは必見で、やりすぎなほどのギラギラなエフェクトと派手なBGMを使った大迫力バトルを楽しめる。本作の中でもここだけはスクリーンショットやプレイ動画を見ているだけではまず手触りが伝わらないであろう部分なので、FFシリーズにアトラクション的な迫力のあるゲーム演出を求めている、という人はぜひともHDR環境を用意して自分の手でプレイしてほしい。

 

[詳細な世界設定、人物相関、あらすじなどの閲覧機能]
イベントシーン中はいつでもポーズ可能で、そのシーンのキャラ・用語解説を見る機能も搭載されているので、人間関係や世界設定を忘れてしまっても安心。中盤以降はシーンごとのあらすじや人物相関図を閲覧できる施設(NPC)も追加されるため、全て合わせるとそのまま設定資料集になるレベルの豪華な機能になっている。とは言うものの本作のシナリオにはゲースロほどの複雑さがそもそもないので、よほど忘れっぽい人でない限り、通常プレイにおいては不要な機能。ゲースロにこの機能欲しい。

 

[ミニマップがない]
物議を醸した没入感重視のためのミニマップ不採用(発売前生放送での発表)に関しては、実際にプレイしてみると結局普通にマップを開いて手間が1ステップ増えるだけ。本作にはオープンワールドゲームのような壁上りや空中移動はなく、マップの端や行き止まりで没入感の敵である「見えない壁」に必ず到達することを考えると、壁を回避してスムーズに移動するためのミニマップ実装は没入感のためにこそ必須だったと思う。

 

[画面停止演出の多さ]
レベルアップやクエスト完了などで、見る必要のない情報を見せるためにいちいち画面を止めたり、少し大きめの扉を開く度にボタン長押しを強制するのも非常にうっとうしい。没入感をコンセプトに掲げるのなら、プレイヤー操作パートではもっと引っかかりをなくしてテンポや快適さを優先してほしかった。

 

[ムービーへの没入感を削いでしまうQTE演出]
召喚獣同士の戦闘はムービーパート・プレイパートともに見応え十分だが、QTEに関しては、いつ来るかと身構えてしまってせっかくの豪華なムービーを見るのに集中できなかったので、没入感を重視するのならQTEは完全に不要だと思う。

 

[お使いクエストの多さ]
シナリオの本筋にはほとんど関係ない、ただ歩き回って会話・ザコ戦・採集をやるだけのお使いが定期的にメインクエストに挟まるので、途切れずにアクションゲームをやりたい人・シナリオを見たい人の両方にとって没入感のかけらもない体験になってしまっている。その割にはサブクエストで主要キャラクターのエピソードが長々と語られることもあり、メインとサブのクエスト振り分けが雑。推測できることとしては、開発段階でメインクエストが短くなりすぎないよう完成順に詰め込んでいった結果なのだろうが、どういう事情であってもメインクエストにここまでお使いが多いと、AAAタイトルとしては正直期待外れ。

 

[主人公とヒロインの描写不足]
上記のお使いクエの多さに起因する部分も多々あるのだが、中盤までの主人公は相槌を打つだけでほとんど自発的に喋らない。もう一言二言くらいは会話をして主人公感を出しておいてほしかった。
また主人公にもヒロインにも共通するところだが、回想シーンも無しに急に一人演説を始めてただの解説キャラと化すパターンが多かった。繰り返しになるが、主役級のキャラはもう少し会話をさせるなり回想シーンを入れるなりして、しっかりとキャラクター描写をしてほしい。

 

[総評]
総じて、「没入感」が悪い意味でキーワードになってしまった作品。ゲームシステムの演出部分やシナリオには引っかかりを感じることが多いものの、ゲームシステムそのものやアクション要素は十分に高品質で面白い。また、召喚獣が登場するイベントシーン・バトルの演出は圧巻の一言なので、デビルメイクライシリーズが好きでムービー鑑賞ゲーが苦にならない人におすすめ。

 

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