ソロ活動/ぽり/ファイナルファンタジーXVI のバックアップ(No.35)


今作はぱっと見ゲーム・オブ・スローンズっぽさのあるFF、第16作目。実際スタッフにゲースロを見せてから開発していると開発者インタビューで明言されている。
結論から言うと、本作の面白い部分はほぼ全て3Dアクション式の戦闘パートに集中している。RPG要素やシナリオはあまり重視しないがアクションは好き、という人におすすめ。

 

良い点:
・詳細な世界設定、人物相関、あらすじなどの閲覧機能
・FF14+デビルメイクライ式アクション
・リアルファンタジー系の豪華なグラフィック
悪い点:
・ミニマップがない
・不要な情報を見せるための画面停止演出
・ムービーへの没入感を削いでしまうQTE演出
・主要キャラの描写不足と平坦なシナリオ
以下、それぞれの詳細。

 

[詳細な世界設定、人物相関、あらすじなどの閲覧機能]
イベントシーン中はいつでもポーズ可能で、そのシーンのキャラ・用語解説を見る機能も搭載されているので、人間関係や世界設定を忘れてしまっても安心。中盤以降はシーンごとのあらすじや人物相関図を閲覧できる施設(NPC)も追加されるため、全て合わせるとそのまま設定資料集になるレベルの豪華な機能になっている。とは言うものの本作のシナリオにはゲースロほどの複雑さがそもそもないので、よほど忘れっぽい人でない限り、通常プレイにおいては不要な機能。ゲースロにこの機能欲しい。

 

[FF14+デビルメイクライ式アクション]
本作の戦闘はコマンド選択がなくなって完全にアクション式となっており、どこかで見たような予兆システム・どこかで見たようなスタイル切り替えやデビルトリガーなど、FF14とDMCをあわせたような方式となっている(本作のバトルディレクターはデビルメイクライ5の開発者)。使うボタンは若干多いものの、操作さえ覚えたらお手軽に爽快感のあるアクションが楽しめる。
1周目メインストーリーの範囲ではノーマル相当のモードでも難易度は低めで、無理にコンボを意識する必要はないが、ある程度はコンボを覚えたほうが見た目にも楽しくなる。さらに難易度の低いモードに変更したり、自動スキル発動・自動回避発動アクセサリを付けてボタン連打するだけのセミオート戦闘にすることも可能なので、アクションが不得意な人・ストーリーだけを見たい人も安心。

 

[リアルファンタジー系の豪華なグラフィック]
人物、召喚獣、ボスモンスター、風景など、グラフィックはどれをとっても発売時点(PS5版は2023年6月発売)の最高峰レベル。
多くのシーンにおいてモノトーン寄りのカラーデザインで画面が構成されており、暗い場面も多いのでHDR環境はほぼ必須となっている。
HDRでゲーム画面を見ている時には全く気にならなかったのだが、後からSDRのスクリーンショット・録画を見るとかなり映えが薄れてしまっている印象を受けたので、FFシリーズにグラフィックを求めているという人はぜひともHDR環境を用意してプレイしてほしい。

 

[ミニマップがない]
物議を醸した没入感重視のためのミニマップ不採用(発売前生放送での発表)に関しては、実際にプレイしてみると結局普通にマップを開いて手間が1ステップ増えるだけ。本作にはオープンワールドゲームのような壁上りや空中移動はなく、マップの端や行き止まりで没入感の敵である「見えない壁」に必ず到達することを考えると、壁を回避してスムーズに移動するためのミニマップ実装は没入感のためにこそ必須だったと思う。

 

[不要な情報を見せるための画面停止演出]
レベルアップやクエスト完了などで、見る必要のない情報を見せるためにいちいち画面を止めるのも非常にうっとうしい。没入感をコンセプトに掲げるのなら、プレイヤー操作パートではもっと引っかかりをなくしてテンポや快適さを優先してほしかった。

 

[ムービーへの没入感を削いでしまうQTE演出]
本作最大の見どころとなっている召喚獣同士の戦闘はムービーパート・プレイパートともに見応え十分だが、QTEに関しては、いつ来るかと身構えてしまってせっかくの豪華なムービーを見るのに集中できなかったので、没入感を重視するのならQTEは完全に不要だと思う。

 

[主要キャラの描写不足と平坦なシナリオ]
キャラ造形に関しては肝心の主人公とヒロインが描写不足という印象を受ける。特にクライヴはメインシナリオでも一言相槌をうつだけの受け答えが多すぎるので、せめてもう一言二言だけでも会話をして主人公感のある性格付けをしてほしかった。
シナリオの本筋も先の展開が気になるような伏線の張り方や意外性のある展開に欠けており、何の脈絡もない唐突な展開か予想通りの展開かのどちらかが淡々と進んでいく。
FFシリーズのお家芸であるムービー画面の演出に関しては期待を裏切らない豪華さのため、キャラ造形とシナリオさえ良ければ…という感想が終始続いた。

 

[総評]
総じて、「没入感」が悪い意味でキーワードになってしまった作品。ゲームシステムの演出部分やシナリオには引っかかりを感じることが多いものの、ゲームシステムそのものやアクション要素は十分に高品質で面白い。また、召喚獣が登場するイベントシーンの演出は圧巻の一言なので、デビルメイクライシリーズが好きでムービー鑑賞ゲーが苦にならない人におすすめ。

 

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