ソロ活動/ぽり/ファイナルファンタジーXVI のバックアップ(No.19)


今作はぱっと見ゲーム・オブ・スローンズっぽさのあるFF、第16作目。実際スタッフにゲースロを見せてから開発していると開発者インタビューで明言されている。
イベントシーン中はいつでもポーズ可能で、そのシーンのキャラ・用語解説を見る機能も搭載されているので、人間関係や世界設定を忘れてしまっても安心。とは言うものの本作にはゲースロほどの複雑さがそもそもないので、よほど忘れっぽい人でない限りは不要な機能。ゲースロにこの機能欲しい。

 

物議を醸した没入感重視のためのミニマップ不採用に関しては、実際にプレイしてみると結局普通にマップを開いて手間が1ステップ増えるだけ。本作にはオープンワールドゲームのような壁上りや空中移動はなく、マップの端や行き止まりで没入感の敵である「見えない壁」に必ず到達することを考えると、壁を回避してスムーズに移動するためのミニマップ実装は没入感のためにこそ必須だったと思う。
レベルアップやクエスト報告などで、見る必要のない情報を見せるためにいちいち画面を止めるのも非常にうっとうしい。没入感をコンセプトに掲げるのなら、プレイヤー操作パートではもっと引っかかりをなくしてテンポや快適さを優先してほしかった。

 

本作の戦闘はコマンド選択がなくなって完全にアクション式となっており、どこかで見たようなアビリティ切り替えやデビルトリガーなど、安心と信頼のDMC方式(本作のバトルディレクターはデビルメイクライ5の開発者)。自動攻撃・回避アクセサリを付けてボタン連打するだけのオート戦闘にすることも可能なので、アクションをやりたくない人も安心。

 

最大の見どころとなっている召喚獣同士の戦闘はムービーパート・プレイパートともに見応え十分。
しかしながらエフェクトの強さと背景の暗さで、肝心の召喚獣本体が目立ちづらいカットが散見されたのは残念な点。HDRを有効化してプレイしている分にはそれほど見づらさを感じることはないが、SDRスクリーンショットだけでもある程度見栄えが良くなるようなカラーデザインにしてほしかった。
また個人的な好みとしては、召喚獣になったドミナントのセリフは全シーンで一切なくしてしまって、相互理解のできない人外の戦い感を出すほうがシンプルな演出になって良いかなと思った。
召喚獣戦のQTEに関しては、いつ来るかと身構えてしまって画面を見るのに集中できなかったので不要だと思う。本作のQTEはただのプレイアブルスロー演出として漫然と散りばめられているだけという印象をどうしても受けるので、操作キャラクターの心情とプレイヤーとの一体感をもたせるための演出として、ここぞという場面だけに絞って効果的に使ってほしい。

 

シナリオに関してはほとんど意外性のある展開がなく、設定の重厚さの割に各キャラの台詞回しがいちいち素人くさい・安っぽくて違和感を感じるという評価を付けざるを得ない、専業シナリオライターを確保できなかったことが容易に伺える出来。FFシリーズで言えば6~9くらいの世代、ボイス無しでテキストを流すのなら違和感ないかもね、くらいのクオリティになっている。
グラフィックが実写並になってフルボイスを搭載するようになった現代のAAAゲームでは、そのリアリティに耐えうる演技になるようなシナリオ・台詞を作らないと全く釣り合わなくなっているため、企画・プロデューサー・ディレクターといった素人がシナリオを書く業界の悪習は早々に改めてほしいと切に願うところ。

 

総じて、「没入感」が悪い意味でキーワードになってしまった作品。演出やプレイヤー操作パートには引っかかりを感じる部分が多いものの、アクション要素は十分に面白く、台詞がない部分のイベントシーン演出は圧巻の一言でそちらの没入感はしっかりとあるので、デビルメイクライシリーズが好きでムービー鑑賞ゲーが苦にならない人におすすめ。

 

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